レインウェア・ハードシェルなどのアウターレイヤーの違いと選び方。迷ったらゴアテックスをひとつの基準に!

前回の「はじめての登山、装備はどんなものが必要?基本アイテム編では、ベースとなるウェア、パンツ、シューズ、バックパックを紹介しました。

上記の4アイテム以外でも、ぜひ揃えておきたい重要なアイテムとしてレインウェアがあります。

登山経験が少なく、悪天候の登山を経験していない人にとっては、それほど必要性を感じないアイテムかもしれません。

そもそも、初心者は、悪天候のときに山へ行こうとは思いません。

しかし、山の天候は、非常に変わりやすいものです。

そのため、「晴れの日にしか山に行かないから、レインウェアは必要ない」というわけにはいかないのです。

「時には、生死をも左右する」と言ったら、大げさに聞こえるかもしれませんが、高い山では、真夏でも低体温症で命を落とすことは、十分にあり得ることです。

今回は、レインウェアなどのアウターレイヤーについて紹介していきます。


🔳 アウターレイヤー

□ レインウェア

一般的にレインウェアというと、「雨合羽」というイメージですが、登山において、レインウェア(上下セット)は、かなり重要なアイテムです。

防風性や防水透湿性などを備えたレインウェアは、レイヤリングでは、一番外側に着るアウターレイヤーになります。

本格的に登山をするのであれば、レインウェアは、必須のアイテムです。

登山用のレインウェアは、雨や雪、冷たい風などから身を守ってくれます。

そして、外からの防御に加えて、内側からのムレや熱を、外に逃がす働きも重要です。

悪天候でレインウェアを着たけれど、ムレや暑さで着ていられないようでは、役目を果たせません。

そこで重要になってくるのが、後ほど説明する「防水透湿性」という性能です。

また、レインウェアと似たアウターに「ハードシェル」と呼ばれるウェアものがあります。

□ ハードシェル

ハードシェルは、ハード(硬い)+シェル(殻)という言葉通り、ゴワゴワした硬い生地でできたアウターです。

ハードシェルには、防風・防水透湿性・防寒・換気などの機能があり、レインウェアと同様に、レイヤリングでは、一番外側に着るアウターレイヤーになります。

ハードシェルの生地表面は、レインウェアよりも、耐久性・耐摩耗性に優れています。

なぜなら、ハードシェルは、より過酷な雪山登山などを想定して作られているからです。

雪山などで使われる、アイゼンやピッケルなどの金属物が当たっても、簡単には破けないように、より頑丈に作られています。

厚くて丈夫な生地を使用したハードシェルは、透湿性や通気性が、若干劣ってしまう傾向にあります。

それを補うのが、脇下などについているベンチレーションと呼ばれる機能です。

ベンチレーター(ファスナー)を開くことによって、ウェアを着たまま換気ができるように工夫されています。

このベンチレーション機能は、レインウェアで、ついているものもあります。

同じ防水透湿性アウターでも、ハードシェルと呼ばれるアウターのほうが、レインウェアよりも高価なものが多くなります。

🔳 防水透湿性素材とは

防水透湿性素材とは、外部からの雨などの水気を防ぐ「防水性」と、内部から発生する汗などの湿気を外に逃がす「透湿性」を兼ね備えた素材のことです。

防水透湿性素材といえば、ゴアテックスが定番です。

ゴアテックス (Gore-Tex)とは、アメリカの「WLゴア&アソシエイツ社」が製造販売する、防水透湿性素材の商標名です。

ゴアテックスのなかでも、

・透湿性と耐久性のバランスのいいノーマル
・透湿性がより高く、薄くて軽量のアクティブシェル
・耐久性の高いプロフェッショナル

などといくつかの種類があります。

さらに、レインウェアなどのアウターには、

防水透湿性膜(メンブレン)

・表生地を貼り合わせた2レイヤー(2層構造)
・2レイヤーに保護素材を貼り付けたの2.5レイヤー(2.5層構造)
・2レイヤーに裏生地を貼り合わせた3レイヤー(3層構造)

などの種類があります。

それぞれ一長一短がありますが、構造の違いによる主な特徴は、以下の通りです。

□ 2レイヤー

軽量ですが、防水透湿性膜(メンブレン)が露出するために、滑りが悪くなり、着心地はあまり良いほうではありません。

□ 2.5レイヤー

軽さと耐久性を両立させ、2レイヤーよりもしなやかで、着心地もよいのが特徴です。

また、裏生地がないので乾きやすいという利点もあります。

最近では、ライト&ファストの主流となっています。

□ 3レイヤー

防水透湿性膜(メンブレン)を表生地と裏生地でサンドするため、最も耐久性が高く、裏生地のおかげでレイヤリングしやすいのが特徴です。

このように、それぞれの構造によって、さまざまな違いや特徴がありますが、それぞれの利点は、何らかの機能と引き換えになっていることが多いので、季節や登る山、アクティビティに応じて、最適なものを選ぶ必要があります。

また、必ずしも2.5レイヤーよりも3レイヤーの方が高価であるとも言えません。

同様のスペックであれば、ライト&ファストである方が、高価になる場合もあります。

🔳 ライト&ファストとは

「ライト&ファスト」という言葉について、簡単に説明しておくと、

「ライト&ファスト」とは、日本の老舗アウトドアブランドである、モンベル社の商標(Light&Fast)でもあり、コンセプトでもある言葉です。

→ モンベルのコンセプトとモンベルクラブの会員特典のまとめ

そのため、他社の商品の機能性を謳うときには、「ライト&ファスト」という言葉は、使用することができません。

意味としては、

装備を軽量でコンパクトにすることで、より早く行動することができるため、行動範囲が広がる

という意味で、ウェアや装備などの軽量化によって得られるメリットを表す言葉ですが、それによって切り捨てる機能や性能もあることは、忘れてはいけません。

🔳 スペックを表す4つの数値

レインウェアなどのアウターレイヤーを選ぶ際に、基準となる4つの数値を紹介します。

□ 耐水圧

生地の防水性を表すのが耐水圧です。

数値の単位は、「Kpa(キロパスカル)」で表記するのですが、一般的に出回っているカタログの表記では、「mm」の表記が多く使われています。

同一の単位で参考する場合、おおよそ「1Kpa=101.97mm」となります。

たとえば、耐水圧10,000mmの生地であれは、1cm四方の水柱を立てた場合、10,000mmの水圧に耐えるという意味になります。

雨の水圧は、気象庁でもはっきりしていないのですが、大雨の水圧が、10,000mmくらいとも言われています。

また、レインウェアは、着ている人の動作に伴って負荷が変わってきます。

そのため、アウトドアでのレインウェアの耐水圧は、10,000mm以上の商品が推奨されています。

□ 透湿度

快適性を左右するのが、透湿度です。

透湿度は、「g/㎡-24h」で表記されます。

「1㎡の素材が、24時間で何gの水分を透過できるか」を表す数値です。

アクティビティに応じて、最適な透湿度を選びたいものです。

大まかな目安ですが、大人が1時間ランニングをした時の発汗量は、およそ1リットルほどだと言われています。

□ デニール

デニールとは、強度を比較する際に参考になる数値のことです。

単位は「D(デニール)」で表され、

「9,000mの長さで、重さが1gになる糸の太さが1D」となります。

たとえば、重さが50gなら50D、100gなら100Dと表記されます。

この数値が大きいほど、糸は太くて丈夫になります。

□ 重量

軽ければ軽いほど動きやすくなるので、必要な機能を持ったレインウェアのなかで、可能な限り軽いものを選びたいものです。

しかし、機能が同じであれば、軽くなればなるほど、高価になるのが一般的です。

また、必要な機能を削ってまで軽くしてしまっては、意味がありません。

🔳 レインウェア選び

レインウェアは、そうそう買い換えるものでもないと思うので、ある程度よいものを選んでおいたほうが、後悔が少ないと思います。

レインウェア選びで迷ったら、モンベルのゴアテックス製の、2.5レイヤーか3レイヤーのものを選んでおけば、性能的には間違いないと思います。

しかし、あとになってから、マムートやミレー、パタゴニアやザ・ノースフェイスなどが良かったなぁ、と思っても、なかなか買い換えることができないかもしれません。

であれば、すでにお気に入りのブランドがあるのなら、迷わずそのブランドのレインウェアを買っておいたほうが、結果的には2着を買うよりは安上がりです。

ただし、機能的に違うタイプの、レインウェアやハードシェルを買い足すということは考えられるので、とりあえず初期の予算を抑えたい場合は、やはりモンベルのコストパフォマンスはかなり良いので、おすすめにはなります。

→ モンベルはアウトドア初心者にオススメ!ウェア選びで迷ったらモンベルストアへ!

🔳 おわりに

これまで、防水透湿性といえば、ゴアテックスが主流でした。

しかし、近年では、各メーカーから新素材が開発されていますので、ゴアテックスにこだわる必要もなくなりつつあります。

ゴアテックス以外の素材が、必ずしも劣っているというわけでもありません。

必要な性能や価格を比較検討して、最適なレインウェアを選べるようになってきた、ということです。

ただ、ゴアテックスは、素材の供給にとどまらず、完成したウェアにまで厳しい基準を設けています。

そのため、多少、高くても、安心を買いたいという場合には、ゴアテックスかどうかということが、レインウェア選びで迷ったときのひとつの判断基準になるでしょう。

最後に、たとえゴアテックスといえども、メンテナンスを怠り、表面の撥水加工がなくなってしまえば、透湿性は一気にダウンしてしまい、ムレムレのアウターになってしまいます。

基本的にレインウェアやハードシェルは、使ったら、洗って汚れを落としましょう。

洗濯・乾燥(熱処理)のプロセスをきちんと行うことで、撥水機能を回復することができます。

こまめなメンテンスが、レインウェアやハードシェルを、長く快適に着るためには欠かせません。

詳しくはこちらの記事に書いています。

→ ゴアテックス(レインウェア)のメンテナンスと保管方法 〈洗濯・撥水加工・熱処理〉

◆ シェアして頂けると嬉しいです!