アウトドアウェアといえば、アウターに注目しがちですが、じつは、「暑さも寒さもインナー次第」なのです。
インナーは基本的には、他人からは見えないウェアなので、ついをコスト優先させてしまいがちですが、本格的な登山などでは、その選択が大きな意味を持ってきます。
そもそも、すでに本格的な登山をされている方は、ここに書かれている知識は常識だと思いますので、この記事では、「アウトドアに興味がわいたけど、ウェアの選び方が分からない」という方に向けて書いていきます。
アウトドアといっても、何も高い山に登るだけがアウトドアではありません。
たとえば、
「外での仕事」、「お子さんのクラブ活動の応援」、「神社仏閣めぐり」など、アウトドアウェアの知識は、日常生活においても、大いに役に立つものです。
別の記事でも書きましたが、神社参拝でも、奥宮への参拝ともなれば、それはもう、立派な登山です。
軽い気持ちで登ると、けっこう痛い目に合います。
→ 三峯神社 奥宮参拝は登山のつもりで!装備を整えて安全に登ろう!
それでは、まずは、意外と重要なインナーについて学んでいきましょう。
🔳 暑さ寒さもインナー次第
アウトドアにおいては、「暑さ寒さもインナー次第」と言っても過言ではありません。
インナー選びのポイントは、「素材と機能とコスト」です。
□ インナーの素材・性能・コスト
インナーの素材といえば、肌に優しい天然素材がいいというのは、間違えではないのですが、たとえば、本格的な登山となると、コットン(綿素材)は、NGです。
アウトドア用のインナーに求められるのは、夏であれば「速乾性」、冬であれば「吸湿性」、「保温性」などです。
天然素材であっても、シルクには「速乾性」、ウールには「保温性」などがあり、アウトドアにも使えるのですが、それらは、コスト的にやや高くなる傾向にあります。
一方、コットン(綿)は、着心地はいいのですが、おわかりの通り、「速乾性」や「保温性」などの機能は、あまり期待できません。
コスト的に、「シルクやウールなどの天然素材でもOK!」という方は、それらを選ぶのもアリだと思います。
また、自然派志向の方は、化学繊維をあまり好まないかもしれません。
しかし、アウトドアで揃えなくてはいけないウェアやギアは、結構たくさんあります。
また、アウターになると、インナーとは違い、今度は他の人から見える部分になるので、デザイン性やブランドなどにもこだわりが出てきます。
それらは、もとの値段がインナーよりも金額のゼロが増えてしまいますが、こだわると値段は、さらに高くなります。
ということで、インナーだけで活動できるものではありませんので、アウターや靴、ザックなどにもお金が必要であることも考えて、インナーを選ぶといいのかなと思います。
□ 化学繊維インナー
肌が弱い方、敏感な方以外は、高機能で低価格な、化学繊維のインナーに頼るのが一般的です。
近年の化学繊維インナーは、技術の進歩で、着心地もかなりよくなっており、それでいて機能的に、肌をドライに保ち、ムレによる暑さや、汗冷えによる寒さなどから身体を守ってくれます。
また、いまでは、冬用の化学繊維インナーであれば、発熱素材なども一般的になっています。
加えて、マッサージ効果などのサポート機能付きインナーや、菌の繁殖を抑える制菌防臭インナーなど、化学繊維ならではの、高機能がアウトドアでは大いに活躍します。
氷点下の寒さでは、じっとしていれば、どれだけ着ていても寒いかもしれませんが、いざ、背中に荷物を背負って、山にでも登ろうものなら、あっという間に暑くなります。
そして、その熱や汗の処理がうまくできないと、ムレや汗冷えなどがおこり、アウトドアで快適に過ごすことは難しくなります。
本格的な雪山登山で遭難なんてしようものなら…
そこまでのアウトドアは、考えていなくても、最低限の機能性をもったインナーを選びたいものです。
また、インナーのいいところは、レジャーなどのアウトドア以外でも使えるということです。
外での仕事が多い方は、そのまま毎日使えます。
そう考えると、こだわりの天然素材(シルク・メリノウールなど)をチョイスして、毎日、快適に使うのもアリかもしれません。
🔳 ファストファッション系
化学繊維のインナーといえば、真っ先に思い浮かぶのが、いまやすっかりお馴染みとなったユニクロの「ヒートテック」や「エアリズム」などではないでしょうか?
ユニクロだけでなく、多くのファストファッション系(ワークマン、しまむらなど)でも、機能性をうたった化学繊維インナーは売られていて、愛用している方も多いと思います。
では、
「それらで十分なのか?」
「それらが、どこまでアウトドアで通用するのか?」
ということですが、ファストファッション系ブランドのものは、コストや普段使いでの着心地が優先されている部分があり、アウトドアブランドの高機能インナーに比べると、機能が犠牲にされていますが、それは仕方がないことです。
そのかわり、アウトドアブランドのものよりも、価格は安くなります。
そもそも、想定される商品の使い方が違うので、どのようなシチュエーションで着用するのかによって選ぶしかありません。
だだ屋外で立っているだけなら、汗をかくことはありませんが、登山となると話が変わってきます。
大量の汗をかいた後、汗冷えをおこせば、低体温を起こしかねないので、活動的なアウトドアを楽しみたいのであれば、アウトドアブランのものを選んでおいたほうが安心です。
それに対して、それほど汗をかく心配のない、ライトなアウトドアやキャンプ、普段の仕事やレジャーであれば、ファストファッション系の化学繊維インナーを選ぶのもアリかと思います。
ただ、いざ山に登ってみると、思ったよりも暑くなり、汗をかきますので、山に登る可能性があるのであれば、保険だと思ってアウトドアブランドのインナーを選んでおいたほうが安心です。
アウトドア慣れした人の話として、冬に「ヒートテックインナー」は、暑くなりすぎる。
そのため、汗を逃がすために、冬でも夏用の「エアリズム」のインナーを着用する人がけっこういるそうです。
大量にかいた汗は、一気に体温を下げることにつながります。
速乾性がないウェアが、雨などで濡れてしまった場合も同様です。
かつて、パタゴニアの先住民は、「寒いから服を着る」のではなく、反対に「寒いから服を着ない」という選択をしていたそうです。
冬のアウトドアだからといって、ただ暖かくなればいい、というインナー選び(極暖ヒートテックなど)は、やめておいたほうが良さそうです。
インナーで重要視するべきは、寒さ対策ではなく、汗やムレ対策と心得ましょう。
寒さは、その上のウェアで調節すればいいのです。
🔳 おわりに
アウトドアに興味がでてくると、当然、それなりの格好をしたくなります。
山に登ってみると、きちんとした服装と装備で登っている人がほとんどです。
大自然をナメてかかると、ときには命の危険もあります。
靴やアウターも当然、重要ですが、まずは、インナーについての知識を持っていて損はありません。
なぜなら、普段の生活でも使える知識だからです。
最後に、アウトドアウェアの基本は、「レイヤリング」といって、いわゆる「重ね着」です。
そして、今回学んだアンダーウェアやロングスリーブTシャツなどの、インナーウェアのことを、「ベースレイヤー」と呼びます。
その上に、「ミドルレイヤー」や「アウターレイヤー」を重ね着して、体温調整をするのが、アウトドアにおけるウェア選択の基本です。
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