登山用バックパック(ザック・リュックサック・デイパック)の違いと選び方 〜 初心者向け

登山などのアウトドアライフに欠かせないもの装備と言えば、「バックパック」です。

最近では、アーバンスタイルにも、バックパックは積極的に取り入れられて、しばしば、ファッション雑誌でも特集されるほどです。

ひとくちにバックパックと言っても、大きさやデザイン、素材や機能など、様々な製品が各ブランドから発売されていて、バックパック選びも簡単ではありません。

そこで、バックパック初心者に向けて、バックパック選びのポイントをまとめてみました。

🔳 バックパックとは?

まずはじめに、バックパックの呼び名について、簡単に整理してみます。

「バックパック」は、「リュックサック」、「デイバック」、「ザック」など、様々な呼ばれ方をすることがあります。

それらの違いをご存知でしょうか?

「バックパック(backpack)」とは、「背中に担ぐ荷物袋」を表す英語です。

では、「バックパック」と「リュックサック」の違いは何かというと、

「バックパック」が英語で、「リュックサック」がドイツ語という言語の違いだけです。

「バックパック」は、「背中に担ぐ荷物袋」の総称ですが、旅行、登山、クライミング、通勤、通学、日常生活など、使用する環境や目的によって、サイズ、形状など、様々なものがあります。

日本においては、登山用などの大型のものを「バックパック」、日常生活で使用する小型のものを「リュックサック」と呼び分ける傾向にあるようです。

また、比較的容量の少ないバックパックを「デイパック」などと呼んだりもします。

登山などをする人の間では、「バックパック」とも呼ばれますが、比較的「ザック」と呼ばれることが多く、アウトドア用品を扱うお店でも、「正しいザック選びのコツ」などと言うフレーズが、よく使われています。

では、「ザック」とは、いったい何でしょう。

実は、「ザック」とは、日本語で使われる「リュックサック」の略で、 “rucksack” のドイツ語発音「ルックザック」を略したものです。

ちなみにドイツで、単に “sack” といった場合は、ただの「袋」という意味になり、「リュックサック」という意味で使われることはないので、この略語が通じるのは日本だけのようです。

まとめると、

大きさや形状、使用する用途によって呼び方がいろいろとありますが、「リュックサック」も「ザック」も「デイパック」もすべて「背中に担ぐ荷物袋」ですので、「バックパック」ということになります。

厳密に何が「リュックサック」で、何が「ザック」と決まっているわけではなく、それぞれの用途に応じて、なんとなく使い分けているだけのようです。

幼稚園児の遠足には、「ザック」というより「リュックサック」の方がしっくりくるし、登山やクライミングをする人には、「リュックサック」よりも「ザック」といった方がしっくりきますね。

以後、この記事では、総称として「バックパック」という言葉を使いたいと思います。

🔳 バックパックの選び方

アウトドアで使用するバックパックを選ぶときは、まずは、使用するシーンを想定しないことには、選びようがありません。

ハイキング、日帰り低山、テント泊、山小屋泊、雪山登山、クライミングなどの、用途が決まれば、必要なバックパックが見えてきます。

また、「まだ、それほど本格的に登山などにハマるかどうか分からない」という方は、普段使いも兼用できるデイパック(リュックサック)を選んでおくというのも、ひとつの方法です。

なぜなら、デザインによっては、兼用できるかもしれませんが、私的には、本格的な登山モデル(ウエストベルトや雨蓋つき)は、登山以外ではあまり出番がなく、あるとすれば、災害時などの「非常用持ち出し袋」になら使えるかな?という感じだからです。(個人的見解です。)

その点、普段使い出来る「デイパック(リュックサック)」なら、たとえ登山にハマらなかった場合でも、無駄にはなりません。

黒のスクエアタイプなど、色やデザインによっては、仕事用として使うことも可能です。

バックパックは、その大きさを容量(リットル)で表します。

アウトドア用のバックパックでは、一般的に

・日帰り用で20〜30リットル
・山小屋泊で30〜40リットル
・テント泊で50リットル以上

が目安とされています。

大きいものでは、100リットルという容量のバックパックもるようです。

登山などで使用するバックパックは、よく雑誌や店舗などでは、

「はじめてのバックパックは、30リットル前後の容量のバックパックがオススメ!」

と言われます。

このサイズだと、日帰り登山から山小屋1泊登山くらいまでカバーできるので、日帰り用と宿泊用の2つを用意しなくて済むからというのが、その理由でしょうか。

一般的に「大は小を兼ねる」といいますが(確かに兼ねることは兼ねるのですが)、日帰りのちょっとしたハイキングに、30リットル以上のバックパックは、少々大き過ぎるかもしれません。

荷物が少ない場合、バックパックのサイドにあるコンプレッションベルトを締めることで、容量をつぶして使用することもできるますが、登山用の30リットルって、意外と大きいなぁ、というのが、始めて30リットルの登山用バックパックを買ったときの、私の正直な感想でした。(装備が揃っていないので…)

レインウェアや防寒着、自炊用の調理器具などをパッキングして持っていくようになれば、30〜40リットルという容量が必要になってくるのですが、そういったものを持っていかない場合は、けっこうスカスカ状態になってしまいます。

また、ブランドによって、同じ容量表示でも、見た目の大きさがけっこう違ったりしますので、表示容量だけではなく、実際に目で見て、背負ってみてから、購入したほうがいいです。

そして、店員さんにアドバイスをしてもらえる、登山やアウトドアの専門店で選んだほうが、より自分にあったバックパックを購入することが出来ると思います。

🔳 体型に合ったバックパック選び

□ 体型に合ったサイズを!

ますは、「サイズ」の話をしますが、ここでいう「サイズ」とは、「容量(リットル)」のことではありませんので、そのあたりをごっちゃにしないようにしましょう。

本格的なバックパックには、バックレングスというサイズ表記があります。

バックレングスとは、そのバックパックが、どれくらいの背中の大きさの人に合うのかを示したものです。

アウトドアブランドのバックパックであれば、S・M・Lなどといった感じで、サイズ違いが用意されていて、よりフィットするサイズのバックパックを、選べるようになっているものもあります。

もちろん、全てのブランドのバックパックに、バックレングスの表記があるわけでなく、ワンサイズしか用意されていないものもあるので、背負ってみて合わない場合は、他の商品を探すしかありません。

また、バックレングスが合っていたとしても、しっくりこない場合もあります。

人間の骨格や筋肉のつき方は千差万別ですので、どうしても、体に合う、合わないがあるのは仕方ありません。

そして、男性と女性とでは、当然、体型的な特徴が違います

女性の場合、もしも、ユニセックスモデルに違和感がある場合は、レディースモデルも販売されていますので、試してみるといいのではないでしょうか。

□ フィト感を確認!

使用する用途が決まり、バックパックの「容量(リットル)」が決まったら、実際に店頭で、いくつかのバックパックを背負ってみて、背負い心地を比べてみるのがいちばんです。

サイズ違い(S・M・L)が選べるモデルであれば、違うサイズとも比較してみましょう。

背中がフィットし、バックパックと背中の間に、大きな隙間がないか、違和感がある部分はないか、などを細かく確認します。

実際に背負ってみる場合は、バックパックの中に「重り」入れて背負ってみることが大切です。

アウトドア用のバックパックを取り扱っている店舗であれば、お試し用の「重り」が、用意されていると思います。

荷物が空の状態で背負ってみるのと、荷物が入った重たい状態で背負ってみるのでは、まったく違います。

実際の使用状況に近い状態で試してから、購入した方が、絶対に後悔が少ないと思います。

また、フィッテイングシステム(背面パット)ショルダーハーネスの硬さや長さもなども、チェックが必要です。

背負ったときの、肩への感触がソフトで、長さが自分の体と合っているか、ストラップをしっかりと締めた時に、違和感や痛い部分がないかなどをチェックして、フィット感を確かめてから購入しないと、後から買い直すことにもなりかねません。

くれぐれも、「いまひとつフィットしないけど、安いからコレにしよう!」とか、「このブランドが格好いいから、コレにしよう!」などという選び方は、やめておいた方がいいです。

体に合っていないバックパックは、使いみちがないし、買い直せば、余計に高くつことになります。

🔳 バックパックの色選び

自分にフィットするお気に入りのバックパックが見つかったとして、もうひとつ悩むのがバックパックの色です。

色は、好みの問題ですので、好きな色を選んでもいいと思いますが、当然、ウェアなども好きな色を選ぶと思います。

その場合、どうしても色が被り気味になります。

好きな色ばかりで、すべてを揃えると、例えば、「赤」が好きな人は、「全身赤一色!」なんてことになりかねません。(さすがにボトムズに赤は選ばないとは思いますが…)

そのため、敢えて、ウェア(主にトップス)などでよく選びがちな、好きな色以外で選ぶ人も多いようです。

何にでも合わせやすい色である「黒」も人気があります。

私の場合は、「黒」もいいのですが、「チャコールグレー」や「カーキ」が好きなので、そちらを選びます。

また、私の場合、トップスのウェアなどでよく購入する、好きな色が「ブルー系(ターコイズブルーや緑がかったブルーが好きです)」なので、その「反対色」である「オレンジ系」を、アクセントカラーとして選ぶようにしています。

全体的なコーディネートを考えたとき、この「反対色」を上手く取り入れると、いい感じでアクセントになります。

全身、同じ色ばかりのコーディネートになってしまったり、チグハグなコーディネートになってしまわないようにするためには、この「反対色」を知っておくと役に立ちます。(同系色で全体をまとめるのも、悪くはありませんが。)

「反対色」は、ネットなどで簡単に調べることができます。

しかし、色彩的センスのいい人は、いちいち、そんなこと調べなくても、抜群のコーディネートをするもので、そういう人は羨ましいですね。

🔳 あるといい機能

□ フロントアクセス

登山用のバックパックは、フロントからジッパーなどで、内部にアクセスできるモデルも多くあります。

この機能があると、バックパックの中身を出さずに、必要なものを取りだせすことができて便利です。

逆にこの機能がないと、たとえば、一番下に詰めた荷物を取り出そうとした場合、いちど、すべての荷物を出す必要があります。

例えばですが、一番下に詰め込んでしまったレインウェアを、急な大雨の中で取り出すような状況を想像してみて下さい。

この機能があるのとないのとでは、大違いだと思いませんか?

□ サイドポケット

バックパックにサイドポケットが付いていると、ドリンクボトルを入れておけるので、バックパックを降ろさずに水分補給ができます。

なかには、ハイドレーションシステムが備わったバックパックもあります。

ハイドレーションシステムとは、バックパック内の袋に水を入れ、それを口許までのびるチューブによって給水する仕組みで、 登山やトレイルランニング、軍用の装備などでよく使われるます。

サイドポケットやドリンクホルダーがないバックパックを使用する場合、別途、ドリンクホルダーを取り付けることも可能です。

このサイドポケットは、バックパックの容量に関係なく付属しているものが多いですが、モデルによっては、敢えて付けていないものもあります。

個人的には、バックパックの外にあるポケット類は、たくさん付いていたほうが便利なので、付いているモデルの方が好きです。

また、外付けのアクセサリーや「サコッシュ」なども上手に活用して、歩行中に、いちいちバックパックを下ろして、荷物を取り出す必要がないような工夫も必要です。

「サコッシュ」とは、もともとフランス語で「袋」を表します。

英語では、「ミュゼット」とも呼ばれています。

サコッシュは、元々、ロードレース(自転車競技)で、スムーズな補給ができるように作られた、ショルダータイプの軽いバッグ(ハイカーサコッシュ)に由来しています。

ロードレース用のアイテムだったサコッシュが、その圧倒的な便利さから、現在ではロードレースではもちろんのこと、登山やアウトドア、フェスなど、様々な場面で幅広く使われるようになりました。

サコッシュは、「薄くて軽く、耐久性があり、激しい環境可での使用も安心」という、アウトドアにもピッタリなアイテムです。

□ ウエストベルト

バックパックの揺れを防ぐチェストストラップは、ほとんどのモデルに付いていると思います。

しかし、ウエストベルトに関しては、30リットル以下の、比較的容量が少ない、小さなバックパックでは、付いていないモデルも多くあります。

また、ウエストベルトが付いていても、チェストストラップと同様の、ナイロンテープだけの簡易的なベルトの場合もあります。

登山用の本格的なバックパックには、たいてい、しっかりとしたウエストベルトが付いていて、荷重を肩だけでなく、腰へも分散して、体全体を使ってラクに荷物を運べるようにデザインされています。

そのため、パッドが入っていて厚みがあり、幅が広い、しっかりしたウエストベルトがついたタイプが、オススメです。

また、しっかりとしたウエストベルトには、ポケットがついているモデルも多く、これも、バックパックを降ろすことなく、必要な小物が取り出せるので、とても便利です。

ただし、

取り外しができない、しっかりとしたウエストベルトがついているモデルは、普段使いには、あまり向かない、という面もあります。

□ 雨蓋(あまぶた)

登山用のバックパックには、雨蓋を備えたものも多く、ウエストベルトのポケットに収まりきれないが、比較的よく使うものなどを入れていくと、素早く取り出せるので便利です。

また、雨蓋と本体の間に、脱いだジャケットなども挟んだりもできるので、雨蓋は、あると便利です。

なお、雨蓋を取り外して、ヒップバックに出来るタイプのバックパックなどもあります。

□ レインカバー

バックパック自体が、防水仕様になっているモデルもありますが、全体的には、撥水加工程度のバックパックの方が多いと思います。

防水にこだわるのであれば、きちんと防水処理がされたモデルのバックパックを選ぶのがいちばんです。

防水仕様でないバックパックでは、レインカバーが内蔵されているモデルも、たくさんあります。

内蔵されていない場合は、付属されていたり、別売りで購入することもできます。

いずれにしても、悪天候対策は必須になります。

どうしても中身を濡らしたくないモノ(濡れたら壊れてしまうモノなど)は、そのモノ自体をバックライナー(防水の袋)やジップロックなどに入れてから、バックパックにパッキングするなどの工夫も必要です。

そうしておけば、万が一、バックパック内に水が侵入してしまった場合でも、そのモノだけは、水から守ることができます。

また、バックパックの中身すべてを、防水のインナーバックに入れてしまっても安心なのですが、これには、フロントアクセスが利用しづらくなるというデメリットもあります。

🔳 ウルトラライト(UL)

バックパックの容量が大きくなるに従って、バックパック自体も重くなります。

そこにたくさんのモノをパッキングするわけですので、かなりの重さになることは想像できます。

近年の素材の進化によって、「ウルトラライト(UL)」というカテゴリーが生まれました。

そして、全ての荷物を軽くし、バックパックの総重量を減らすという、「ウルトラライトパッキング」という言葉も使われるようになりました。

理屈的には、バックパックの重量が減れば、それだけ疲れが減り、疲れが減れば怪我も減ります。
要するに、軽ければ軽いほど、快適で安全な登山を楽しめるというわけです。

というわけで、最近では、同じ容量のスタンダードタイプの半分程度しかない、超軽量のバックパックも増えてきました。

ただし、素材が薄くなることで、スタンダードタイプに比べると、耐久性は劣ります。

そして、耐久性以外でも、多くの機能が削られていることが多いです。

多くのウルトラライトモデルは、

・ハーネス、ウエストベルト、フィッテイングシステム(背面パット)などが、簡素化されます。
・ジッパーを減らすことでも軽量化しているので、フロントからバックパックの内部に、アクセスもできないものが多いです。
・雨蓋を備えていなかったり、ポケット類がないモデルも多くなります。

これらの削られた機能は、ほとんどが、「あると良い機能」で書いた機能です。

従って、はじめのうちは、「スタンダードタイプ」から購入した方がいいかもしれません。

ウルトラライトタイプは、経験を積んで、自分にとって必要な装備や機能と、必ずしも必要でない装備や機能が分かってきてからでも、遅くはないのではないでしょうか。

🔳 おわりに

パックパックは、アウターと同様に目立つ装備のひとつです。

また、夏でも冬でも年間を通して使うものです。

アウトドアライフを続けていくうちには、2つ、3つとバックパックのバリエーションも増えていくとは思いますが、はじめのうちは、ひとつのバックパックを使うことになると思います。

つまり、アウトドアに出かけるたびに、そのバックパックを背負うことになります。

そのバックパックが、自分の体に合っていなかったり、サイズが大きすぎたり、小さすぎたり、色やデザインが気に入らなかっら、きっと、モチベーションは下がってしまいます。

そして、もしかしたら、そのままアウトドアライフに対する熱が、冷めてしまうかもしれません。

反対に、お気に入りのウェアやギアを手に入れたら、気分やモチベーションが上がりますよね。

せっかくのアウトドアライフを楽しむためにも、多少の時間がかかったとしても、お気に入りのウェアやギア、グッズなどを探す手間を惜しまないようにしたいものです。

また、可能な限り、良いものを選びたいものです。

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